周囲から異常と言われた彼が救われるためにした行為とは…

男の子なんだから、男らしくなれ。
幼い頃から、その言葉を親に言い続けられていた。
同級生たちからも異常だと判断されては虐げられた。
……そして、僕に優しくしてくれる人は、僕のせいで不幸になっていった。
(僕は、いないほうがいいんじゃないかな……)
自己嫌悪に陥る僕は、次第に、ある行為をするようになる。
それは、自分を罰せられているようで………少しだけ気が楽になった。
※注 意 事 項※
本ゲームは『ダークネス・ボーイフレンド』をクリア前提のお話となっています。
以下では、未プレイ・これからプレイ予定の方はご注意ください。
(本記事内には、ネタバレ要素が含まれております)
(アリスの本名は念のため伏せています)
▼ダークネス・ボーイフレンドのレビューはこちら▼

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Contents
「ダークネス・ボーイフレンド」の基本情報
■ジャンル■
身内にすら異常と言われ続ける少年の心情を綴ったノベルゲーム
- プレイ時間/約30分
- エンディング/1
■キーワード■
学生・普通・異常・イジメ・友情崩壊・メンヘラ・病み
■オススメポイント■
- マッドネス・ボーイフレンドのメインキャラ、汐音の闇が形成されるまでの心重いシナリオ
- 「普通」と「異常」について問われるメッセージ性の強さ
- 汐音にとってアリスの存在がどれだけ大きかったかが分かるラスト数分
■ストーリー性について■
ダークネス・ボーイフレンドに登場した汐音の過去エピソード。
彼が周囲からのイジメ・無理解により精神を病んでしまった(リスト●ットをするようになった理由など)経緯がメインのため、ラスト数分までは心が痛くなる描写が続く仕様。
その分、アリスや演劇部メンバーが登場した際の安心感が何倍にもなって返ってくるのが見所。
■プレイのしやすさ■
好きなタイミングでセーブ&ロードが可能。
分岐は無し。
「僕は猫になりたい。」ここが面白い!
普通と異常に巻き込まれた汐音の心情

本作は、ダークネス・ボーイフレンドに登場した汐音が、心に傷を負い続けた過去にスポットをあてたストーリーとなっています。
彼が偏見や嫉妬によるイジメに遭っていたことをプレイヤーは把握済みなものの、汐音がリスト●ットをし始めた経緯や、片目を隠すきっかけの描写は非常に辛く、読んでいて心が何度も締めつけられます。

また、汐音がダークネス・ボーイフレンド中で話していた『自分を助けようとした人を不幸にしてしまった(離れていってしまった)件』についても事実が判明。
周囲の心無い行動や、汐音が次第に自分を嫌悪していく描写はかなりエグく表現されています。

壮絶な過去があったからこその未来
自己嫌悪故のある行動、それが原因での不登校、普通と言う固定概念が強すぎるために無理解な親。
ラスト数分までは、汐音の心が病んでいく鬱シーンが多いものの、部活に入ることを決めた理由や、高校進学後のエピソード(部活メンバーとの慣れ染めやアリスに惹かれたきっかけ)を見ると、彼の人生に光が差し込むのが分かり、より本編の終わり方に感動できます。

全体的にかなり闇が深く、重いシナリオとなっていますが、汐音をより知れる面はもちろんのこと、『普通』がいかに人の人生を狂わすのかを感じられる構成となっているので、本編よりも過激な表現(汐音がリスト●ットをするシーンや、イジメシーン)が大丈夫な方は、ぜひ、ダークネス・ボーイフレンドと併せてプレイして欲しいところ。
(幸せな未来verのエンディングがより泣けます)
また、タイトル内の『猫になりたい』に関しても、汐音の過去と密接しているので気にしながらのプレイがオススメです。
プレイした感想
汐音の心の闇が出来上がるまでの過去ストーリー、ということで重い話だと覚悟したものの、普通という曖昧な言葉を軸に差別されたり、傷つけられ続け、壊れていった汐音の心情が読んでてとても辛かったです。
リスト●ットをしてしまった経緯もですが、猫になりたいと思っていた真意も…
だからこそ、ラストの保健室の先生とのやり取りに泣き、汐音がアリスに出会えたて・ダークネス・ボーイフレンドであの結末になって良かったと思える余韻がたまらないんですよね。
個人的に嫉妬や憂さ晴らし、普通じゃないからという浅い理由で汐音を蹂躙してきた加害者たちよりも、汐音に対して無関心+ズレた説教をする教師と汐音両親にヘイトが溜まった派だったりします。
特に中学時代の担任に関しては、そもそも生徒に寄り添うって概念が無いタイプだったのかと。
とりあえず給料貰ってるただ教員免許を持ってる人的な。
担任がもっと機能してればユガミたちのイジメも、もう少し抑えられたと思うし、ある意味、イジメを増長させた張本人だと思ってしまったり。
(もちろん、加害者達は擁護不可な絶許対象ですが)
ダークネス・ボーイフレンドプレイ時、中学時代のイジメ主犯だったユガミと同じ高校に行かせた部分から、汐音の両親は息子の精神状態に無関心なのかな?(もしくは汐音が心を閉ざして意思疎通が出来てない)と予想していたのですが、そんな想像を遥かに超えた人種で絶望感を抱かずにはいられませんでした。
(そして、汐音は自分の意志で高校を決めたけど、ユガミも偶然、同じところに進学していたというオチだった…)
序盤で病院に連れて行ったのも世間体を気にしてだろうし、何よりイジめられてる相手に頑張れ、反撃しろ、何とかしろ(解決策を言わずに無責任に声がけするだけ)っていうのは実質・死ねと言ってると思っている身としては、汐音両親の汐音への台詞は虐待にしか見えなかったよ…
汐音両親は、アリスの言う、固定概念に縛られた人間たちなんだろうな。
もしくは、当人の普通と外れた人間を弾圧したりイジめたりしている側だったのかもしれない。
最終的には汐音、両親とは離れて暮らして欲しい……
あの両親は、息子に関して柔軟性を持てない(持たない)時点で毒にしかならないよ。
高校での演劇部入部後を見るとやっぱり環境って大切だし、環境が自身に合うか否かは運でもあるんだなと感じてしまう締めでもありました。
あと、綺麗に仲直り!までは無理かもしれませんが、いつか汐音と小鳥遊には再会して欲しいですね。
小鳥遊は小鳥遊で、相当のトラウマになってると思うし、場合によっては何年も引きずるレベルだと思うので、ダークネス・ボーイフレンド後(もちろん、幸せな方の)の汐音を見て欲しいという気持ちが……
▼2020.8.12追記▼
汐音と小鳥遊のその後が分かる『ロストフレンド』のレビュー記事をアップしました。
小鳥遊が抱く罪悪感と、ややこじらせ気味な生真面目さ。
2つの要因が結末と絶妙にリンクする所が個人的に大好きです。

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