紅い世界で残酷な真実を突きつけられた二人の尊い友情が美しすぎる

葉月と千夜。仲睦まじい少女たちは学校帰りに突然見知らぬ世界へ迷い込む。
赤く染まり廃墟と化した、この世の終わりのような場所。
離れ離れとなった二人は再会するため勇気を振り絞り歩き出す。
……迷い込んだ世界の先が二人の『残酷な事実』と繋がっているとは知らずに。
Contents
「うつしよ」の基本情報
■ジャンル■
二人の少女が織りなす悲しくも暖かい気持ちになれる脱出ゲーム
プレイ時間/約1.5~2時間
■キーワード■
友情・謎解き・衝撃の事実・脱出・学生・切ない・後味が良い
■オススメポイント■
- 結末を知っているか否かで感じ方が変わる伏線ありのシナリオ
- 様々なギミックが搭載された謎解き要素
- 離れ離れだからこそ成立するトリック、二つの視点が楽しめるストーリー性
■ストーリー性について■
二人の少女が不気味な世界に迷い込み、再会を目的に謎解きをしていくストーリー。
話を進めていくと、不穏なフラグが多々立ち、嫌な予感をしながらの進行になるが、締めはとても爽やかかつ、キャラクターだけでなくプレイヤーも前向きになれる。
(周回要素はないが、オチを知って再プレイすると新たな発見もある構成も必見)
■プレイのしやすさ■
気になるところをタップし、謎解きをしていく仕様。
謎解きは中級者~向けの物が多くシナリオが進む度に難易度が上がっていく。
少しずつヒントをくれるフォロー機能があるが、明確な回答は提示されないため、最終的には自力で解く必要あり。
■課金要素■
本編中に課金要素は無し。
広告削除・特別シナリオ(ラストで「ん?」となった部分があった人に特にオススメ)がセットになった課金パックあり。
「うつしよ」ここが面白い!
ホラー&サスペンス×友情が綴る結末に心が締めつけられる

物語は、帰宅途中の女の子二人が不思議な世界へと誘われるところからのスタート。
葉月と千夜の穏やかな日常が突然壊れる流れがたまりません。
(千夜がバスを降りようとしたら運転手がいないどころか、背景が急に…の部分は背筋がゾッとするのでぜひご自身の目でみて欲しいところです)

謎の世界で離れ離れとなった葉月と千夜。
再会を目標に歩き続けるものの、所々が不穏だらけ。
新しい場所に着く度に安堵より不安が積もっていきます。

中盤付近では、葉月&千夜の意味深な写真や片方の家族(?)の幻影が見えたりと二人に関する背景が段々と色濃くなっていきます。
もしかして●●は、実は片方は…などと、様々な疑問が沸き上がっていき、良い意味で謎解きパートがもどかしくなってしまうことも。
(推理好きな方は、葉月と千夜の真実を予想しながら進めると更に楽しくなります)


ホラー・サスペンステイストが強いシナリオですが、真相は驚き・切なさが混じり合い、とても後味が良いプレイ感を与えてくれます。
※ホラーといっても、怖い画像が出てくることはないのでご安心を
互いが互いを想う気持ち、友情、献身などが好きな方は二人の結末を最後まで見届けてみてください。
謎解き好きを唸らせる脱出ゲー要素

本作の謎解きはタップのごり押しで解ける物ではなく、本格派。
さりげない文章がヒントになったり、複数の情報から答えを出したり、アイテム同士を組み合わせたり(時には解体したり)、特定のルートで物を動かしたり……とアドレナリンがとても滾ります。

ヒント機能は良い具合な小出しで教えてくれるため、好きな度合いで解法を知れる仕様。
ストレートな答えが提示されないのはちょっとだけネックですが、ガッツリ謎解きしたい!な方には膨大な満足感を与えてくれます。
また、答えを閃いた時の頭スカッと感もかなり大きいのが魅力。
(謎解き好きなくせに、解くの遅い/察しが悪い私でもクリアできたので初心者さんでもヒントを見ればぜんぜんいけます!)
ゲームクリア後には確実に謎解き力がアップしているのを勝手に保障したい!
プレイした感想
可愛いイラストとゾワリとするホラーな謎解き背景の組み合わせに惹かれ、結末に涙しながらも、とある子の未来を願わずにはいられなくなった内容でした。
過去にプレイした『死神探偵少女』の当人がどうにもできない内にできてしまった業な描写が非常にツボだったのですが、本作でもそういう描写があったのが個人的にとても嬉しかったです。
二人がああなってしまったの、誰も悪くないというか、ある意味、神さまの悪戯やタイミングの悪さだったのかと思うと、某キャラがどう心に落とし込んでいいのか分からなくなる気持ちがより分かって辛い…
あと、似たケースが本当に起こる可能性がありそうなのも恐怖。
そして、今回の一件もある意味、神さまの悪戯(気まぐれ)と思うと葉月と千夜は二度、それに巻き込まれてしまったのかと。
でも本作での悪戯(気まぐれ)は、某キャラが前に進むためには必要不可欠な物だったと思うと、批判したくない気持ちに。
(本作みたいな現象は、体験するだけで暗い心が相当軽くなるくらいの内容なので)
謎解きは最初、久しぶりにハードな類でぐぬぬとなったものの、しっかり文章を読みアイテムの意味を考えて謎を解くという基本ながらもちょっと頭から離れていた物を改めて感じさせていただきました。
うん、自分はもっと脳みそを動かそうな……(反省)
そういえば、葉月サイドのアイテム・スマホに同作者さまの『おたのプリンセス!』のアイコンがあった小ネタがこっそり好きだったりします。
こちらも、近い内にプレイしてみたい…!