「あなたの人生にゲームって本当に必要ですか?」が問われるクソゲー改革劇

「あなたこそ、このクソゲーの大革命にふさわしい人材です!」
アルバイト先が決まらず落ち込んでいた谷口美咲は
『ちょっと怪しいゲームテスターの募集メール』を見て応募し、とんとん拍子で採用される。
天才高校生が作ったらしいMMORPG(※オンラインRPG)「シャングリラ・ワールド」の住人となった美咲は、マスター権限を奪われてしまった開発者のタクと出会う。
なんと、マスター権限はヒロインとして設定されたキャラクター・フィオナに奪われており…
「しょせんは、ぼっち高校生の独りよがりな世界観…こんなクソゲーのヒロインなんてまっぴらです♪」
クソゲーヒロインVS残念なイケメン&ゲーム好き女子によるゲーム改革の幕が切って落とされた。
Contents
「シャングリラ・ワールド」の基本情報
■ジャンル■
クソゲーを舞台にヒロインとゲーム好き男女が戦うノベルゲーム
プレイ時間/約2.5~3時間
■キーワード■
オンラインゲーム・クソゲー・RPG・人生・ヒロイン・ゲームの必要性
■オススメポイント■
- ゲーマーの胸に良くも悪くも刺さる『クソゲー』の定義やゲームの必要性に対する可否
- 通常のゲームだけでなく、ソシャゲプレイ経験者(特に渋ガチャ・ランキング経験者)の心情や開発者側の意図が見え隠れするディープなシナリオ
- 現実世界で生きる人間にとってのゲームはどういう立ち位置なのか?を追求したエンディングに熱さと涙が止まらない
- クリアおよびシナリオコンプリート時に非常に寂しくなるほどなキャラクターの魅力
■ストーリー性について■
クソゲーヒロインに反逆された開発者とテストプレイヤーの女の子が、クソゲーを直すべく奮闘するストーリー。
ヒロインのフィオナが提示するクソゲー要素はリアルな物が多く、様々なゲームをプレイ済みのユーザーはハッとさせられることも。
また、ゲームと人の関係性についても色濃く書かれており、ゲームが更に好きになるプレイ感を与えてくれる。
■プレイのしやすさ■
タップをして会話を進めるノベルゲー形式。
選択肢によって展開・エンディングが変化する。
バッドエンドになった際は広告視聴ですぐに選択肢に戻れる機能が便利なものの、仕様上、スキップができないのがちょっとだけネック。
■課金要素■
本編中に課金要素は無し。
最終章クリアユーザー対象に、オマケシナリオが見れる課金コンテンツがある。
(詳細は条件を満たした際に表示される仕組み)
「シャングリラ・ワールド」ここが面白い!
ヒロインとのクソゲー改案バトルがゲーマー心をたぎらせる

ストーリーは、ちょっと消極的な女の子・谷口美咲が怪しい電子メールを機にオンラインゲームのテスターに採用され、シャングリラ・ワールドの住人になるところからはじまります。
ゲーム内では、美咲と同じくシャングリラ・ワールドのアカウントを持っている元マスター(ゲーム開発者)のタク。
「こんなクソゲーなんか出たくねえ!」と反逆をし、マスター権限を奪ってしまった元ヒロイン・現ラスボスのフィオナがおり、美咲はタクとコンビを組むことでクソゲーを良いゲームにしていき、フィオナからマスター権限を返して貰うように奮闘する流れになります。

フィオナはゲームに関するあらゆる『無駄』を排除して、ストレスフリーなゲームを作りたい模様。
また、ソシャゲ・現在のゲームにありがちな現状を語りながら「ゲーム自体、本当に必要なのか?」と語りかけてきます。
現在進行形のゲーマーは、彼女が問いかけてくる度、精神にクリティカルヒットを食らうの待った無しに………
むしろ、癖になっていきます。

ゲームが好きな美咲と、シャングリラ・ワールドに思い入れがあるタクはフィオナの駄目出しを言葉と実践で論破し、段々とゲームを改善していきます。
時には、難関なサブシナリオを攻略して、お使い要素の大切さを訴えたりなど、当たり前のようにゲームに搭載されている部分の核心に迫っていくことも。

第一の論議は、ゲーマーとは切って離せない『レベル上げ』

初めてのクソゲー要素討論は、ゲーマーなら誰しも経験がある『レベル上げ』の必要性について。
フィオナはレベル上げ自体を「時間の無駄」「これがなければもっと有意義なことに使える」と言いますが……

「お金でレベルを買えるシステムを入れるべきでは?」など、フィオナの効率重視な言動に対して、レベル上げは必要だと主張するタクと美咲の真意とは……!?
メインキャラ3人の意見とプレイヤー(自分自身)の意見を眺めていると
今までやってきたゲーム・ゲーム内の要素って本当に必要だったのかな?
と改めて考えさせられる部分は、ぜひ本ゲームをプレイして体感して欲しいところです。
ゲームがもっと好きになるタク&ミサキのゲーム愛

フィオナとのクソゲー討論バトルに挑み続けるタクと美咲。
2人の共通点は『ゲームに対して思い入れがある』こと。
それ故に、フィオナが無駄・無意味と称するクソゲー要素に対してどこまでも真摯で必死になる姿は目尻が熱くなる一方。
作中ではそれぞれの、ゲームをしたからこそ『得られた物・救われたこと』についても語られ、
長年ゲームをしているプレイヤーの心に響きを与えてくれます。

また、ゲームに特別な思い入れがあるからこそ、2人は終盤で大きな決断をします。
特に片方は、今後の人生に大きい影響を与えるレベルの選択をし、もう片方はそれに対して今までしたことないような選択を迫られます。

タク・美咲…そして、とある思惑のあるフィオナの行動を見守っている内にプレイヤー自身の「どうして自分はゲームが好きだったのか?」の答えが姿を濃くし、クリア時にはもっとゲームが好きになっている部分が作品の強い魅力となっています。
プレイした感想
有限の時間を消費してやるゲームは、プレイヤーに何を与えてくれる存在なのだろう?
簡単なようでとても難しい疑問を追い求めた深いゲームでした。
それなりにゲーマーな自分もそこまで考えたことがなかったため、とても重いテーマに感じたり。
管理人も過去、ドラ●エのようなレベル上げ必須な作品をしたり、お使い要素の多いアー●ザラッドをクリアしたり、とあるソシャゲに課金したりなどなど、ゲームに数え切れぬ時間・お金を使った経験者だったので、フィオナの言葉が刺と化して胸に刺さってきつつ、タクと美咲の主張を見てやっぱり自分はゲームが好きなんだ、と改めて感じさせていただきました。
また、ゲーム好きなら一度は感じたであろう「現実がクソゲー」に対する某キャラクターの言葉がとても印象的で自虐的になった時はあの台詞を思い出していきたいと思ったほど。
シリアスかつメッセージ性の強い部分はもちろん、コメディパートはつい声を出して笑ってしまったシーンも多く、Entabridgeゲーあるある、いつまでも彼らのやり取りを見ていたい症候群になりました。
あと、恒例の、なんだ宣伝かエンドも健在…というよりパワーアップしていたのが個人的に嬉しかったです。
個人的には、一番最初で見られるであろう美咲の●●デビューエンドが一番好きです。
懐かしのキャラはもちろん、チラシ配りのお姉さん!!!!!
あと、怪異掲示板と7つのウワサ宣伝エンドはそのままアプリ1本できそうでワクワクしました。
クリア後、その後が不明瞭となっている某キャラクターはしっかり前を向き、彼女と再会して新しい人生を歩んでいっていたらいいなと強く願います。
(間接的にコンプ特典シナリオ・課金特別シナリオで拝めましたが、直接的な表現はないままだったので…でも、あの伏せ方はある種絶妙で個人的に大好きです)
そして、タク・美咲・フィオナがいつまでも固い絆で結ばれていますように…